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天生峠越え

渓流釣りが解禁になると荘川水系の鑑札(年間遊漁証)を買う為、毎年訪ねる商店があった。

此処のご主人はちょっと変わっていて、食料品やら雑貨、日釣り券の販売は全て奥さん任せ、普段は店で見かけたことがない。

ところが、どういう訳か鑑札交付の時だけは奥さんが奥に声をかける。ゆっくりご主人が出て来て客の顔を見、世間話をしながら交付手続きを始める。

年間を通う釣り客の顔を見ておきたいのか?定かでは無いが毎年そうなので此処の流儀らしい。

ご主人は還暦を過ぎた方で、3年を目標に遍路巡りをしている最中で、今も、今年の旅の思案をしていたところだそうだ。

ずいぶん健脚なのですね、そう言うと、ご主人はいや昔に比べればずいぶん足が弱ったと言い、若い時に経験した天生峠(あもうとうげ)越えについて話してくれた。



結婚して間もないある年の瀬、名古屋の兄が急病で倒れどうしても名古屋に出向かなければいけなくなった。

岐阜の白川郷から名古屋に出るとなると、河合村の角川駅から列車に乗らなければならない。

白川郷から駅までは30キロ近くあり道中は天生峠を越えるしか道は無く、無雪期、車で飛ばしても1時間かかる難所なのだ。

国道なのに峠道は初雪と同時に長い冬季閉鎖に入る。(開通は例年6月頃)

まして年の瀬、道の積雪は軽く1mを越え、まだ締まっていない雪の峠越えは困難を極めたそうだ。

膝より上にある雪を掻き分け前進する辛さは想像を絶する。解禁当初の釣り場に向かうのもかなり気が重いものだが、せいぜい1時間程度のラッセルだからなんとかなる。

しかし1300mの峠をラッセルして越え、30キロ先の駅を目指すとなると途方も無い。峠で力尽きれば死あるのみ、想像もつかない修羅の道のりだったと思う。

この方は なんと18時間かけて峠を越え駅に到着したそうである。

いつも山仕事で歩きなれているとはいえ、この時ばかりは死を意識したそうだ。


話を聞き終え、若いことの素晴らしさ、肉親の絆の深さを思わずにはいられなかった。

天生峠






ウォーミングアップ1.5キロ  10.0キロ 49分59秒  クールダウン1.5キロ
5キロ通過タイム 25分33秒
南のそよ風、雨の降り出し。
そよ風、曇り、汗がじわっと出てくる絶好のコンディション、前回の疲労感が抜け気持ちよく走れる、半そでで丁度よかった。
ケヤキの新芽が出ていた、渋い緑だ。
足元にはハルジオン、ヒメジオンがポツポツ咲き始めた。土手に10m×50mほどのマツバウンラン大群生を発見!また写真を撮りにこなければ・・・
桜と同じく、ユキヤナギの盛りも過ぎたようだ。






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