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『静かに流れを探る人』 水彩 カナダの旅 スティールヘッド編 4 [水彩画]

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『静かに流れを探る人』 水彩 F3 カナダの旅 スティールヘッド編 4

ガイド頭のゴードさん。川釣りのプロは流れを読み、静かに探る。


2日目、キスピオックに来た時は20℃あったのに、この朝は5℃まで冷え込んだ。今日はガイド頭のゴードさんが僕らをガイドしてくれることになった。川に出ると最初に道具のチェックから始まった。ラインやリーダーの結束強度チェックが済むと、キャスト後の流し方などを徹底的に指導してもらう。「合わせだ!」「合わせを強く入れないとスティールヘッドの硬い顎に針は刺さらない」「針先のチェックをマメに、ヤスリでいつも鋭く研いでおくこと」この2項目は繰り返し何度も言われた。我々は川の中で何度も空アワセの練習をやらされた。

ボートで下りながら時折見かける釣り人に「どうだい?」と尋ねるが、皆、釣れてないようだ。水温は昨日より0.5℃下がり9.0℃。ドグサーモン、ドリーバーデン、カットスロートは時折見かけるのだが肝心のスティールヘッドはまだ見ていない。ゴードさんは「川底に針が当たっている感触はあるか?」とよく尋ねてくる。確かにコツコツと底石に針が触れる感触はある。「イエス」と答えると、「スティールヘッドのあたりは小さいから、石だと思っても思い切り合わせを入れるように」と言われた。ゴードさんの教えを総合すると、1、仕掛けが底を這っていること。2、あわせは力一杯入れること。3、針先は常に鋭く保つこと。の3つである。これはかなり厳しい要求である。教えを忠実に守れば、根掛かりは連発するし、針はキャストごとに研ぐ必要があるが、大物狙いに手間を惜しんではいけない。おかげで、根掛かり外しとヤスリがけは随分手早くなった。割りに早い流れのポイントでコツコツと小さなアタリが来た。教えられた通り、思い切り合わせを入れると30cmほどのウグイのような魚がすっ飛んで来た。ホワイトフィッシュと呼ばれ美味しい魚だそうだ。持って帰れと言われたが、ロッジに着く頃にはかなり傷んでしまうだろうからリリースした。

午後、浅い瀬で40cmほどのピンクサーモンが入れ掛かりになった。これも産卵に遡上したサケなので、傷だらけ、カビだらけ、釣りの対象魚としては忍びないものがあるが、全く口を使わないドグサーモンと違い、毛鉤を追ってくれるので良い練習になった。それと、僕らはドリーバーデン(イワナの仲間)の釣り方も覚えた。ドリーはこの時期イクラ泥棒なのだ。ドグサーモンが数匹居れば必ずその後方にドリーがイクラを狙って付いて居る。ドグを見つけるとオレンジ系統の毛鉤を結び、ドグの群れより1 、2m後方を流れるようラインを送り込んでやる。送り込みの距離がぴったり合い、イクラがフワフワ流れて行く演出が出来ればドリーが喰ってくる。

宇宙を思わせる紺碧の上空を見上げると、時折ホワイトイーグルが舞っている。ゴードさんはホワイトイーグルを見た時は幸運がやって来るのだと言ったが、それらしいアタリが来ないどころか、スティールヘッドの姿さえ見ない。
キスピオック川は川原を含み200mほどに広がったかと思えば、10mそこそこの急流が岩盤をえぐる処もあり、様々な流れ方を繰り返しながら蛇行している。静かなトロ場では家一件分もあろうかと思うほどの木材が積まれたビーバーダムがあり、その岸際に後10回もかじれば倒れそうな”切り出し寸前”の白樺があったりする。我々が通りがかったので森の職人は隠れしまったのかな?全く人間の臭いがしない流れと森が数十キロに渡って続く。
聞こえてくるのは、瀬音と時折起こる森のざわめきやアスペンの枯葉が着水する音。
この静寂が何時破られるのか?と密かに思いながらキャストを繰り返すが、釣り人の思いに川はなかなか答えてくれない。そういえば、九頭竜川でも雪がフワフワ舞い落ちてくる光景を見上げながら、同じようなことを考えていたな。

毛鉤の消耗が激しいので、今日は早めに切り上げロッジに戻った。僕らは、グリーンバットスカンクと紫マラブーをできるだけ巻き、念入りに針を研いだ。
少し早い時間だが夕食にしよう。レストランに行くと、先住民族らしき一家がテーブルでバースデーケーキを囲んでいた。どうやら下の男の子の誕生日のようだ、一緒にハッピバースデーを歌いお祝いをした。


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