漂流 [最近読んだ本]
江戸時代、千石船が遭難、八丈島の遥か沖合い鳥島(無人島)に漂着した水夫らが本土へ生還するまでの長い過程を当時の取調べ書を元に再現された小説。
最終的にこの無人島脱出に成功したのは、
土佐の長平(13年滞在)
大阪の義三郎他8名(10年滞在)
薩摩の栄右衛門他3名(7年滞在)
計14名
水も湧かず穀物も育たない無人島で次々に死んで行く仲間達。
長平は仲間の死からこの島で生きて行く術を学び、一年半を孤独で生き抜く。
やがて同じような遭難者が漂着、助け合いながら島からの脱出を試みる。
この14名が本土生還できたのは、薩摩の遭難者が船を作る大工道具を持っていたことと長平がこの島で粘り強く生き抜く術を身につけていたから成ったことで、どちらが欠けても奇跡の生還は起きなかっただろう。
長平がこの島で生き抜いて行くための物理的行為を考え、行動するあたりがこの小説の核心だと思うが、その行為を支える精神、考え方が心を打つ。
良い本でした。