『邂逅の森』 [最近読んだ本]
秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし着々と腕を上げて行くが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。
鉱山で働くものの、山と狩猟への思いは断ち切れず再びマタギとして生きる。
520ページに及ぶ大作であるにもかかわらず、読みだすと止まらない、飽きない。
山中の生き物についての描写は今一つだと思うが、人生、人間模様についてはよくもまあこれだけのストーリーを考えついたものだと感心するばかり。また、東北訛はこんなにも人の気持ちを効果的に伝えているんやなぁ、と、胸に来ました。
暇つぶしにはもってこいの小説でした。
邂逅とは偶然の出会いを意味するようですね。
ブックカバーの絵は枝分かれするものの一本太い幹が描いてあります。
主人公が数々の出会いを重ねても、人生の軸となる山への思いが太い幹に込められているように感じる。
この幹の中心部をただ強い色(黒とか)で強調するのではなく、板をくり抜いて立体的に強調してあるところが心を打つ。
表紙絵とても気に入ってます。
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