SSブログ

『フィッシュ オン!』 水彩 カナダの旅 スティールヘッド編 5 [水彩画]

080826-s-400-DSC_0002-1.jpg
『フィッシュ オン!』 水彩 P4 カナダの旅 スティールヘッド編 5

遂にスティールヘッドがヒット!水中を観察していたゴードさんが魚影を確認、相手はビッグだ!綱引きのような根比べが始まった。キスピオックのプロは、冷静に状況とランディングポイントを見極めつつ、森の住人にも注意を怠らない。


3日目

この朝は更に冷え込んだ。ねぼけまなこでレストランに行き、カリカリベーコン、ポテト、ホットケーキを注文する。冷たい牛乳を飲みながら外を眺める。4層ガラスで出来た窓の中央に置かれた温度計は3℃を示し、今日も水温低下と渇水が進み厳しい釣りが予想される・・・。

今日は随分時間をかけて上流に向かった。見晴らしのよい橋の手前で車を止め、ゴードさんが遥か彼方の山を指差し「今年の初冠雪だ」と静かに言った。昨夜の冷え込みで2000mより上では雪が降ったようだ。
「さて諸君、この橋の下の瀬の中に白い石が見えるが判るだろうか?」ゴードさんは流れの中の石を指差す。僕らがイエスと答えると、「では上流から釣り下ってきて、パープルマラブーをできるだけゆっくりターンさせながら、あの白い石にタッチさせてみてくれ」・・・まずは昨日の復習テストという訳か・・・望むところ。藤野さんと僕は川に降りてタイプⅡが巻いてあるリールを竿にセットし紫マラブーを結び、交代でこの課題に挑戦した。橋の上から「角度がきつい、もっと上流から送り込め」とか「まだ1m送り込みが足りない」「コースはいいけど毛鉤が浮いているじゃないか、底石を触る感触はあるか?」ばんばん指示が飛ぶ。何回かトライしているうちに、白い石に毛鉤をタッチさせることが出来た。「いいじゃないか、よし釣りに出かけよう!」やっとゴードさんのゴーフィッシングが出た。

薄氷の張った川岸を歩いて最初のポイントに向かうと、いたるところにサケの死骸が横たわっている。ゴードさんが一際大きな骨を指差し「キング」と呟いた。最初のポイントは流れが緩い、こんなところにスティールヘッドが居るのかな?と思いながら何回かキャストすると、鈍い感触があった、すかさず合わせを入れたが針は掛からず水中で銀色の魚体がギラリと反転した。後ろで見ていたゴードさんが「コーホー」と呟いた。・・・しまった!コーホーと言えば日本のサクラマスみたいなものである、長年追いかけて来た魚が釣れるチャンスだったのに・・・。

それから午前中いっぱい、あらゆるポイントを釣ってみたがアタリは無く、それらしい魚影も見ない・・・これで全日程5日間の半分が過ぎた・・・まずいな。

ゴードさんの昼食の準備を眺めながら、僕は川原に座りこみ竿の長さだけ出した仕掛けをペッタン、ペッタンと、餅つきのように目の前の浅くて白泡の立つ早い瀬に打ち込んでいた。泡の一点目がけて毛鉤を勢いよく叩きつけたり、着水寸前で止めてみたり・・・デパートで駄々をこねる子供か?。何十回か繰り返しているうちにグイと魚が喰いついた!うわっ、小さいのに強い!30cmほどのニジマスは元気にジャンプを繰り返し、勢い余って自ら川原に跳ね上がって来た。カットスロートとは引きの強さが全く違うし、模様も違う。この元気印君をゴードさんに見せると、リリースしながらベビースティールだと言う。
半ば暇つぶしの偶然で掛かったベビー君だが、胸の暗雲に一筋の光芒をもたらした事は確かだ。

午後からは早い瀬に的を絞って釣ったが、アタリは無い。
あのベビースティールは、やはりただの偶然だったのか?
16時、今日も後2,3ポイント回って終了だ、またしてもボウズか?じりじりと焦りを感じながらも、目は必死に流れを追いかける。

ヒットは思いがけないポイントでやってきた。

瀬頭に出来た水深がありそうなえぐれに、反転流が巻いていた。
アマゴの類は流芯を好み、こういった反転流をあまり好まない。居るとしてもへそ曲がりなイワナくらいであろうというのが僕の経験上の結論ではあったが、今は僅かな可能性にもすがるしかない。
静かに寄って行き、下流にポトリと紫マラブーを落とした。毛鉤はフワフワと沈みながら反転流に巻き込まれ、瀬頭に向かう筈だ・・・
毛鉤は思った軌道の途中で止まった・・・思ったほど水深が無かったのかな?それとも流木でも沈んでいたのだろうか?
アタリのような感触はまったく無かったが、渾身の力で竿を煽った。半ばやけくそである、へそ曲がりな小イワナが空を切り、すっ飛んで来る予定だったが、非常に重たいものを引っ掛けた感触がズシリと来た・・・
やはり流木にでも引っ掛けたのだろう。そう思いながら覗きこむと、掛かった相手は弾丸のように下流に走った!うわっ!サカナ!全身の毛穴が逆立ち、カッーと体が熱くなるのを覚えながら、反射的に竿を上流側に倒し、スプールにブレーキをかけた。相手は30mほど下流に走ったところでターンし流芯で止まった。ターンの瞬間、虹色の光がはっきりと見えた。間違いなくスティールヘッドだ!
しかし、この強さは何だ!?9番ロッドをグリップの中から曲がる程プレッシャーを与えているのに、時折口に引っかかったゴミを払うがごとく頭を左右に軽く振りながら、流芯を平然と泳いでいる。

「フィッシュ オーン!スティール!」 静かなキスピオックの中で僕は思い切り叫んだ!

駆けつけたゴードさんは慎重に水中を観察し「ビッグ フィッシュ」と唸る。藤野さんも竿の曲がりを見て「うはー、こりゃ凄いわ!今日は僕の釣りはもういいから、絶対コイツを上げようぜ!」と言ってくれた。
ゴードさんも「ゆっくりやろう」と言いながら、ランディングポイントの見極めや熊への注意を怠らない。


トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

『静かに流れを探る人』 水彩 カナダの旅 スティールヘッド編 4 [水彩画]

080820-s-400-DSC_0003-1.jpg
『静かに流れを探る人』 水彩 F3 カナダの旅 スティールヘッド編 4

ガイド頭のゴードさん。川釣りのプロは流れを読み、静かに探る。


2日目、キスピオックに来た時は20℃あったのに、この朝は5℃まで冷え込んだ。今日はガイド頭のゴードさんが僕らをガイドしてくれることになった。川に出ると最初に道具のチェックから始まった。ラインやリーダーの結束強度チェックが済むと、キャスト後の流し方などを徹底的に指導してもらう。「合わせだ!」「合わせを強く入れないとスティールヘッドの硬い顎に針は刺さらない」「針先のチェックをマメに、ヤスリでいつも鋭く研いでおくこと」この2項目は繰り返し何度も言われた。我々は川の中で何度も空アワセの練習をやらされた。

ボートで下りながら時折見かける釣り人に「どうだい?」と尋ねるが、皆、釣れてないようだ。水温は昨日より0.5℃下がり9.0℃。ドグサーモン、ドリーバーデン、カットスロートは時折見かけるのだが肝心のスティールヘッドはまだ見ていない。ゴードさんは「川底に針が当たっている感触はあるか?」とよく尋ねてくる。確かにコツコツと底石に針が触れる感触はある。「イエス」と答えると、「スティールヘッドのあたりは小さいから、石だと思っても思い切り合わせを入れるように」と言われた。ゴードさんの教えを総合すると、1、仕掛けが底を這っていること。2、あわせは力一杯入れること。3、針先は常に鋭く保つこと。の3つである。これはかなり厳しい要求である。教えを忠実に守れば、根掛かりは連発するし、針はキャストごとに研ぐ必要があるが、大物狙いに手間を惜しんではいけない。おかげで、根掛かり外しとヤスリがけは随分手早くなった。割りに早い流れのポイントでコツコツと小さなアタリが来た。教えられた通り、思い切り合わせを入れると30cmほどのウグイのような魚がすっ飛んで来た。ホワイトフィッシュと呼ばれ美味しい魚だそうだ。持って帰れと言われたが、ロッジに着く頃にはかなり傷んでしまうだろうからリリースした。

午後、浅い瀬で40cmほどのピンクサーモンが入れ掛かりになった。これも産卵に遡上したサケなので、傷だらけ、カビだらけ、釣りの対象魚としては忍びないものがあるが、全く口を使わないドグサーモンと違い、毛鉤を追ってくれるので良い練習になった。それと、僕らはドリーバーデン(イワナの仲間)の釣り方も覚えた。ドリーはこの時期イクラ泥棒なのだ。ドグサーモンが数匹居れば必ずその後方にドリーがイクラを狙って付いて居る。ドグを見つけるとオレンジ系統の毛鉤を結び、ドグの群れより1 、2m後方を流れるようラインを送り込んでやる。送り込みの距離がぴったり合い、イクラがフワフワ流れて行く演出が出来ればドリーが喰ってくる。

宇宙を思わせる紺碧の上空を見上げると、時折ホワイトイーグルが舞っている。ゴードさんはホワイトイーグルを見た時は幸運がやって来るのだと言ったが、それらしいアタリが来ないどころか、スティールヘッドの姿さえ見ない。
キスピオック川は川原を含み200mほどに広がったかと思えば、10mそこそこの急流が岩盤をえぐる処もあり、様々な流れ方を繰り返しながら蛇行している。静かなトロ場では家一件分もあろうかと思うほどの木材が積まれたビーバーダムがあり、その岸際に後10回もかじれば倒れそうな”切り出し寸前”の白樺があったりする。我々が通りがかったので森の職人は隠れしまったのかな?全く人間の臭いがしない流れと森が数十キロに渡って続く。
聞こえてくるのは、瀬音と時折起こる森のざわめきやアスペンの枯葉が着水する音。
この静寂が何時破られるのか?と密かに思いながらキャストを繰り返すが、釣り人の思いに川はなかなか答えてくれない。そういえば、九頭竜川でも雪がフワフワ舞い落ちてくる光景を見上げながら、同じようなことを考えていたな。

毛鉤の消耗が激しいので、今日は早めに切り上げロッジに戻った。僕らは、グリーンバットスカンクと紫マラブーをできるだけ巻き、念入りに針を研いだ。
少し早い時間だが夕食にしよう。レストランに行くと、先住民族らしき一家がテーブルでバースデーケーキを囲んでいた。どうやら下の男の子の誕生日のようだ、一緒にハッピバースデーを歌いお祝いをした。


トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

『斜陽の杭』 水彩 カナダの旅 スティールヘッド編 3 [水彩画]

080821-s-400-DSC_0004-1.jpg
『斜陽の杭』 水彩 M3 カナダの旅 スティールヘッド編 3

スティールヘッディング1日目、大物のアタリは無いまま日も傾いて来た。暗くなれば足元が危うい、この岩を目印にして岸に戻ろう。岩の隣に打ち込まれた一本の杭となり無心にキャストを繰り返す。


1日目

朝、若いガイドが迎えに来た。トム君と言いまだ19才、ガイド歴は浅いが、地元の子なのでキスピオック川には詳しいようだ。早速準備を整え彼の助手席に乗り込もうとしたら、ドアの取っ手がポロリと取れた・・・トム君がノープロブレムと言いながら内側からドアを開ける・・・僕は取っ手を持ったまま助手席に乗り込んだ・・・大丈夫かなぁ?ところで、これどうしたらいいの?あーそれは後でまた嵌めておくから気にしないで・・・あ は は はぁ 先がちょっと思いやられるな。

キスピオックの釣りはドラフティングと呼ばれるゴムボートで移動しながらの釣りが主流である。道路が川に沿って出来ている訳では無く、道路から川が覗ける場所はほんの数箇所である。そういう場所はガイドを雇わないキャンピングカーでやって来た長期滞在釣り客やら地元の釣り人が陣取っているので、僕らのような短期決戦型渡航者は入る隙間が無い。よって、割高ではあるがガイドを雇い、ボートで下りながら人の寄りつけないポイントを釣って行く訳である。森を突っ切って穴場に向かう手もあるが、ここら辺の森はグリズリーの巣であるから、不慣れな人間は慎まなければいけない。

ボートについた朝露を払い、3人で担いで川岸に出る。乗って来た車はマーガレットさんが昼間のうちに到着予定地に移動しておいてくれる。
さて、やっと本場での釣り開始だ。トム君と相談した結果、僕がタイプⅡのシンキングライン、藤野さんがタイプⅣのシンキングラインで釣り下る事にした。巻いてきたフライボックスを見せると、トム君はグリーンバットスカンクとオレンジのシュリンプパターンを指差した。
しばらく釣ると藤野さんに30cmほどのカットスロートが来た。
一つのポイントで2,30投するとゴムボートに乗り込み次のポイントに下る。ポイントに着くとボートを降りてまた2,30投する。その繰り返しで一日5~10キロ釣り下るのが此処の流儀である。

お昼、流木を集めて焚き火を起こす。濡れたウェーダーを干し、体を温める。トム君は枝を削ってソーセージを刺し焚き火で炙る。客の昼食もガイドの大切な仕事である。ホットコーヒーは大きな保温ポットに入れて持ってきてあるのでいつでも飲める。この日はツナとタマネギをマヨネーズで合えてパンに挟んで食べた。そろそろソーセージが良い色になって来た。「フィッシュオーン!」粘っていた藤野さんが叫んだ!
恐ろしくひん曲がった竿を藤野さんは必死で支え、リールを巻くことも出来ず耐えていた・・・大物だ!トム君が駆け寄り、ゆっくり ゆっくり、と声をかける。僕もカメラを持って裸足で川原をペタペタ走る。この辺がいいアングルかな?構えてファインダーを覗いた瞬間、弓なりに曲がった竿がポンと戻った・・・ラインブレイクでは無く、針が外れたようだ。
う~ん残念!藤野さんは「あんな引きは今まで味わった事が無い、最後まで姿を見せなかったけど、あれがスティールヘッドなら半端な魚じゃないねぇ」と興奮しきり。僕も正体を見たかったなー、う~ん残念!そしてトム君がまだ何か叫んでいる・・・そんなに惜しいヒットだったのかな?え?違う?・・・あらら ソーセージが真っ黒焦げだわ。

昼からもどんどんポイントを変えて行く。流れの緩んだポイントに立ち込み静かにしていると、産卵間近のドグサーモン(シロザケ)が足元まで寄ってくる。シロザケというと新巻鮭をイメージすると思うが、この川で見かけるドグサーモンはほとんどが80cm~1mほどあり日本のサケより大きい。無心にキャストを繰り返していていると、いつの間にか自分の足元に巨大なドグが付いて、ぎょっとする事が何回かあった。長い流程を遡上し体は傷だらけ、カビだらけ、最後の力を振り絞って産卵床を堀りその時を待つ。既に産卵を終え浅瀬に横たわり、力なくヒラを打っている者も居る。命の始まりと最後。体力を温存する為に、人間が作るわずかな流れの弛みでさえ頼って来ているのだと思うと、胸が熱くなる。

一日目が終わろうとしている。此処が今日最後のポイントになるだろう、岩を頼りにウェーディングし無心にキャストを繰り返す。藤野さんに言われて知ったのだが、この時対岸にはグリズリーの親子が姿を現していたそうだ。



トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

『マーガレットおばさんの素敵なレストラン』 水彩 F3 カナダの旅 スティールヘッド編 2 [水彩画]

080814-s-400-DSC_0003-1.jpg
『マーガレットおばさんの素敵なレストラン』 水彩 F3 カナダの旅 スティールヘッド編 2

スティールヘッド釣りでお世話になったロッジの隣にあるレストラン。釣りガイドは6時半に迎えに来る。寝ぼけまなこで朝飯を世話になり、へとへとになって夕方戻ってくると19時くらいにまたここで夕食を世話になる。早朝にもかかわらず管理人のマーガレットさんはいつも笑顔で僕らの食事を作ってくれた。夕食は一般客やガイド達も一杯飲みに来るので、マーガレット夫妻は厨房で大忙し。息子さんがウェイターをする。昼間は釣りガイドの車移動、仕込みがあり、朝から晩までハードな仕事だ。




僕らは、バンクーバー発13:00、スミザーズ行きの便を空港ロビーで待っていた。30分前になったのでそろそろ搭乗手続きが始まると思い構内アナウンスに注意していると、今まで掲示されていたスミザーズ行きが突然消えた。・・・?。何か説明があるだろうとしばらく待ったが、それらしいアナウンスは一向に無い。定刻はどんどん迫ってきて僕らは焦った。エア・カナダの窓口に行ってチケットを見せ、「この便はどうなったのか?」と聞いたが、僕らの発音が悪いのか係員は首をひねるばかりで一向に意思が伝わらない。いったいどうなってるんだ!?チケットを見れば状況ぐらい察しがつくでしょうが?意思が伝わらないとお互いに声がだんだん大きくなる。見かねた隣(別の航空会社)の係員が手招きするので行ってみた。チケットを見せると幾つか電話をし、新しいチケット発行の手続きをしてくれた。新しいチケットは、14:30発テラス経由スミザーズ行きとなっており、僕らのアタマは混乱した。スミザーズ空港着が予定より2時間遅れてしまうが、迎えのマーガレットさんは知っているのだろうか?・・・もう最初の出発予定時刻は過ぎている、今更じたばたしても始まらない・・・ま、 なるようになるさ!骨を折ってくれた窓口係員に礼を言い、僕らは待合に戻った。

スミザーズ空港に到着すると中年女性がニコニコ出迎えてくれた。迎えが居て僕らはほっとした。バンクーバー発スミザーズ行きは利用する人が少なく、次のテラス行き便に統合され、テラス経由スミザーズ行きとなる事が多いそうだ。搭乗便が変更になったので成田で預けたままの荷物が出てくるか心配したが、同じ便でちゃんと来てよかった。遅れはあったものの、明日からの釣りはまともにできそうだ。僕らより2週前のツアーでは、一人のロッドケースがロサンゼルスまで行ってしまい、持ち主はツアー中ずっと貸し竿で釣りをするはめになったそうで、なんとも気の毒。それに比べれば僕らの”予告なし欠航”など旅のご愛嬌といったところだ。

マーガレットさんは釣りロッジの管理人で料理もやり、釣り客の送迎、釣りガイドの車移動もやっているそうで、車の運転は慣れている。アスペンやスプルースに囲まれた未舗装の道をがんがん飛ばし、綺麗にテールスライドさせながらコーナーを曲がって行く。とても外見からは想像できないドライビングだ。時折スキナー川の流れがチラと見え、とうとう来たという感激がこみあげて来るのだが、時差ぼけと緊張が解けた僕らはいつの間にか眠ってしまい、気がつくとこれから世話になるマーガレットさんのロッジに着いていた。

わぉ!白樺やアスペン、スプルースの森に囲まれた素敵なロッジとレストラン、手入れされた芝や鉢植え、マーガレットさんの人柄が判るね。ライセンス手続き後、ロッジで荷物を広げベッドにごろりとなる。残暑厳しい岐阜の家を出て32時間が経過し、北緯55度スキナー川支流キスピオックの周辺では既に紅葉が始まっていた。





トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

「渡航者の思惑」 水彩画 F3 カナダの旅 スティールヘッド編 1 [水彩画]

080807-s-400-DSC_0003-1.jpg
「渡航者の思惑」 水彩画 F3 カナダの旅 スティールヘッド編 1

遂に念願の地に降り立った2人。淡水でのターゲットとしては世界最強と呼ばれるスティールヘッドの釣りを目前にし、思いは複雑だった。今日の夕方には憧れの川岸に立つところまでとうとうやって来た。バンクーバーのオフィス街を歩きつつも、体内の血が逆流しそうな程の高揚感と、情熱だけでは通用しないであろうという理性が押し合いを繰り返し、準備に費やした日々の思い出や、これから始まる日々のイメージが複雑に絡み合うのだった。





プロローグ

1987年春   

僕は九頭竜川(福井県)の流れを眺めながら、カナダに行く決心を固めていた。



九頭竜川に遡上すると言われる幻のさかな”サクラマス”を求め、1985年から3年此処に通った。雪の油坂峠でタイヤチェーンを切って難儀した事もあった。堤防下の車中で朝目覚めると、心配した近所の方の通報でおまわりさんが凍死してないか?と覗きに来られた事もあった。それだけ通いつめても、魚が掛かった事も無ければ、誰かが釣り上げたのを見たこともなく、唯一の手がかりは地元ルアークラブの数名が年に数匹は釣っているという情報だけだった。何回か、その方達にお会いしたこともあったが、#8シングルハンドのフライロッドを振り回す僕の姿を見て、「そんなんで釣れるのかなぁ?ルアーで狙ったほうが効率いいんじゃない?」と言われるだけ。当時、フライフィッシングでサクラマスを釣った人は聞いた事がなかったし、雑誌に紹介された事も無く、ひたすら単独試行錯誤するのみであった。海に降りたマスがもう一度川に戻ってきた時、どういった釣り方が有効なのか?ルアーの釣り方をヒントに3年頑張ったが、もう限界である。そうでなくても先ほど一緒に昼飯を食った馴染みのルアーマンが「僕は4年頑張ってみたけれど、今シーズンで九頭竜通いを止めようと思ってます」 ぼそっと漏らしたのだ。3年も4年も同じ川に通い続け、アタリさえ無いサクラマスの釣りとは?果たして釣りと言えるかどうかも疑問なのだ。もうこれは、本場の釣りを学んでくるしか無い。そう決めた。


世界に目を向けると、遡上マスやサケのフライフィッシングは割りとポピュラーに行われていた。北欧のアトランティックサーモン釣り、カナダやロシアのスティールヘッド釣り、アルゼンチンのシートラウト釣りなどが上げられるが、ヨーロッパの釣りは元々貴族の遊びであり、川で釣りをする権利の問題などがあって渡航者が簡単にできる釣りでは無さそうであり、アルゼンチンは遠すぎる。そうなると、カナダのスティールヘッド釣りが一番行きやすいのだが、一人では非常に割高な旅行になってしまう。釣り専門の旅行会社に申し込んでみたものの、一般的なカナダ釣りツアーは、湖でのレインボー釣りがスティールヘッド釣りに組み込まれている。スティールヘッドがボウズで終わっても、30cmか40cmほどの虹鱒入れ食いで勘弁してもらおうという魂胆らしい。それでは、遡上マスの釣りの勉強に行く趣旨が半減するし、滑り止めの用意されたツアーなど最初から本命を放棄したに等しいと思える。ただし、遡上する魚というのは、いつ釣り場を通過して行くか甚だ曖昧で、そんな魚一本に絞った企画に参加する物好きはそう居ないだろう。

1987年の暮れ、旅行会社から連絡が入った。
この無謀な企画に参加する釣師が見つかったのだ。先方は藤野さんという。渓流釣り専門で大番手のフライロッドは振った事は無いが、企画が決まるのであれば早速練習を開始し来年秋に間に合わせる覚悟があるので、よろしく頼むとの事だった。願ったり叶ったりである。早速藤野さんとの情報交換が始まった。スティールヘッドに関する情報収集やら、キャスティング練習など、この釣りに向けてほぼ1年がかりの準備を経て、1988年9月、カナダの地に降り立った。

フライによるスティールヘッドフィッシング You Tube 動画
トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

「バラのある庭」 水彩画 [水彩画]

080802-s-400-DSC_0004.jpg

先日、開店準備中に、あるお客さんが「庭のバラが沢山咲いたのでもらってくれる?」と、摘んできたばかりのバラを持って来てくれました♪「トゲを取ってないから気をつけてね!」いえいえありがとうございました。早速店内に飾りましたよ^^

せっかくなので、いくつかラフスケッチを描き、更にバラの咲いた庭ってこんな感じかなー?と、全く勝手な想像で庭を描いてみました。

080802-s-400-44img719-1.jpg

「バラのある庭」 水彩ハガキサイズ
タグ:水彩画 バラ
トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『朝焼けを行く』 カナダの旅 12 [水彩画]

080708-s-400-DSC_0002-1.jpg

水彩画『朝焼けを行く』 F3 カナダの旅シリーズ その12

サーモン釣り最終日。午後一番のヘリでこの地を離れるので、午前11:30までにロッジに戻らなければならない。
残された釣り時間は正味3時間半ほど。昨日の時化がまだ残る朝焼けの海に繰り出す。赤い朝焼けに、また嵐の予感がする。ひょっとしたらもっと早く帰港することになるかもしれない、急げ!残り時間は僅かだ!


最終日、我々の思いに呼応してか、マンセル君は真っ赤な海原をフルスロットで突っ走る。

昨日船酔いした客は、まだキングを釣っていなかったが出漁を見合わせた。余程昨日のダメージが大きかったのだろう、可愛そうだが仕方が無い。

昨日の余波残る海に仕掛けを落とすと、いきなり女性の竿が海中に突き刺さった!

キングだ!それもデカイ!

波とぬれた甲板で足元が不安定なうえに、強力な引きが加わり女性は海に引っ張り込まれそうになる。

危ない!

ヒットさせた獲物は一人で戦うのが原則だが、これは見てられない・・・

後ろから竿とリールをサポートし、最初の突っ込みをなんとかかわした。

後ろから手を添えて何回かやりとりしているうちに、走りに対するスプールの押さえ加減は判ってきたようだ。

やっと慣れたのに、10分ほどで彼女は疲れと波の恐怖で腰が抜けてしまい竿を支える事ができなくなった。

・・・僕の懐で彼女が竿にぶら下がり、僕は彼女と竿を支えながら34ポンドのキングと戦うことになった・・・

ありえんカタチ・・・^^;

それでもなんとか、やったとったを繰り返し、20分でキングはネットの中へ・・・お疲れ様でした。


さあ!この勢いで行こう!

最初のポイントに戻り、仕掛けを投入すると今度は僕に来た!

これもデカイぞ!

同じ34ポンドだったが、彼女がくっついていなかったぶん楽に寄せる事ができた。

080728-s-500-DSCF031212.5-1.jpg


宴は幕を降ろした。

「ありがとうマンセル君」 「今度仕掛けをいじったら俺のボートにゃ載せないぞ!」 「あはは、こっそり針を研いでたのバレてたか^^!」

「ああ、知っていたよ。 おめでとう・・・君らはいいチームだ!」



トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『ハイダの海』 カナダの旅 11 [水彩画]

080702-s-400-DSC_0004-1.jpg
水彩画『ハイダの海』 F3 カナダの旅シリーズ その11

4日目、朝から時化、釣り客は天候の回復を待ちながら停滞。

トランプゲームを2時間ほどやり、打ち上げ会のスポンサーが決まった。

時化はなかなか収まらず、僕はいつのまにか深い海に沈殿していった・・・7000年もの間ハイダ族が暮らした海とは?

ガイドの話によれば、一匹のサーモンが針に掛かった時、その周囲には1000匹のサーモンが群れているのだそうだ。1000匹の群れが餌を求めて移動する。たまたまその中の一匹が好奇心でくわえたニシンの塩漬けが自分の竿先にあっただけ。その偶然にどれだけの人が一喜一憂した事だろうか?

途方も無く豊饒の海なのだ。

その恩恵をちょっぴり頂き感謝しながら土に戻って行く。

そんな暮らしが7000年も続いたのだろうか?

・・・また僕は深い海に沈殿していった。




午後、ようやく時化が収まり始め出港許可が出た。

船に自信のある客、まだ大物を狙いたい客は忙しく出港準備に取り掛かる。

既に大物を釣りロッジでくつろぐ客も居る、外の波を見てはなから出港を諦める客も居る。

こういう場合、釣りたくても船酔いしやすい客は出港を迷うね。

今日は釣りの時間が短いので、一旦出港したら「辛いからロッジに戻してくれ」とは言い出しにくい。

かといって、船酔い状態で2,3時間過ごすのもかなり辛いものだ。

小生はもちろん出港組。

以前沖縄で隣の船が波間に消えるくらいの時化でも黙々とルアーを投げ続け、諦めかけたカスミアジの大物をヒットさせた経験があった。
ノーヒットと船酔いでぐったりしていた同乗者を奮い立たせ、皆トレバリーの強力な引きを堪能できた事があった。今回も誰かがキングをヒットさせれば少々の時化なんぞ吹っ飛ぶだろうと思った。

釣り場に着くと思った以上に波はまだ高い。ボートの手摺に脚を巻きつけてないと海に放りだされそうな揺れだ。

仕掛けを投入したものの、置き竿では仕掛けが踊ってしまい釣りにならない。

各々竿を持ちボートから放り出されないようしながら、仕掛けを安定させるだけで大変な作業である。

20分で同乗者の一人がダウン。

あまりにも辛そうなので、ガイドのマンセル君と相談した結果、1時間半の釣りで引き上げることになった。

ヒットさえあれば船酔いも吹っ飛ぶさと竿先に集中するがアタリは皆無だった。

同乗者を奮い立たせることが出来なくて残念。

港に着くと真っ先に酔った客を降ろす。

もやいを結びながらマンセル君「オイラももどしそうだった」と海の男らしいジョークを飛ばした。





サーモンフィーバーの海

試練の海

ハイダの海

・・・解釈など意味が無い。



体で感じ、その瞬間、持てる力をふりしぼるのみ。



トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『一つの終結』 カナダの旅 10 [水彩画]

080629-s-400-DSC_0003-1.jpg
水彩画『一つの終結』 F3 カナダの旅シリーズ その10

寄ってきては反転し猛烈なダッシュで海中深く逃げ込み、あるいは水面を割って出てテールウォークを見せる。その度に糸を張ったり緩めたり、ある時は強引なリーリング、ある時はリーリングを止めて相手の出方を探る、ある時は竿を海中に突っ込みテンションを保つ。15分間、このキングは力の限り針を外そうとし糸を切ろうとしたが、こちらも針を外されまい、糸を切られまいとあらゆる手を尽くした。

サーモン釣りという一つのゲームが終結を迎えている。気をつけろ、最後の詰めで切られる事はよくある。


余談

サーモン釣り3日目。

2日間世話になった最古参ガイドのボートを降りた。此処のフィッシングガイドNo1と呼ばれる彼を最後まで頼るほうが無難だろうが、定石とか確立やビギナーズラックで捉えられる相手でも無さそうだ。数十年の経験を軽視する訳ではないが、時には己の閃きを信じたくなる時もある。

3日目は若いガイドのボートに乗ることにした。
ナイジェル・マンセルというF1レーサーが居たが、この若いガイドはマンセルによく似ている。「よろしく頼む」と握手して彼のボートに乗り込み、もやいを解く。昨夜会った時、彼の野生の嗅覚を匂わせるような眼光に賭けてみることにしたのだ。
彼は釣り場に着くと、「この潮目に沿って」と言い僕に操舵を任せ、エサの準備を始めた。

朝の時合(魚の喰いがよい時間帯)で、まず僕にあたりが来た。エサを十分食い込ませ合わせを入れると、猛烈なスピードで相手は潜りあっという間に30mほど道糸が引っ張り出された。5分ほどのやりとりで寄ってきたキングは26ポンドほどだった。今回の旅でキープできるキングは3匹まで、リリースか?迷うサイズだったが初物なのでキープ。

お昼近く。まだキングを釣ってない客2名が30mのタナにセットした潮下の竿につき。僕ともう一人はコーホー(銀ザケ)狙いで13mのタナで置き竿にし、アタリを待つ。ここではロッジのサービス巡視艇が周回しており、飲み物や軽食が欲しい時は無線連絡すれば持ってきてもらえる。近くの船がちょうどサービスを受けていたので、コーヒーでも貰おうか?と思っていた時、僕の竿のドラグが悲鳴を上げた!ロッドキーパーから竿を外し、スプールを徐々に押さえてブレーキを掛けるが止まらない。コーホーでは無くキングだ!50m走ったところで、フッとロッドが軽くなった。外れたか?そう思いながらリーリングを始めると微かに生き物の感触が蘇った。外れたのでは無い!こちらに向かって走っているのだ!今度は大急ぎでリーリングをして糸の弛みを取る。ボートの手前10mで相手はピタリと止まった。なんと背びれを出してこちらを見ているでは無いか!30ポンドはあるな、そう思った瞬間、キングは反転して猛烈なダッシュを始めた。ガイドが「弱いブレーキだ!」を連発する。シイラやヒラアジを思い出す瞬発力、想像以上に走る距離が長い。朝の26ポンドと同じ魚種か?疑いたくなるほどの強い引きだ。10分を越えたところでキングの走る距離が短くなってきた。勝負はここからだ。道糸が沢山出ているうちは少々の衝撃も糸の伸びが吸収してくれるが、距離が詰まってくるとそうは行かない。キングの動きに素早く対応できなければ、伸びる余裕の無くなった道糸はあっさり切れる。

トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『あたりを待つ』 カナダの旅 9 [水彩画]

080626-s-400-DSC_0003-1.jpg
水彩画『あたりを待つ』 F3 カナダの旅シリーズ その9

もう日没が近い、水平線に太陽が隠れたらストップフィッシングだ。
夕焼けの海原と竿先を祈るように眺めながら、魚信を待つ。

余談

サーモン釣り初日、あたり(魚信)は3回あった。一度目は竿を持って待っているといきなりグイと引き込まれたので反射的に合わせを入れたが、針掛かりしなかった。ガイドは「合わせが早すぎる、もう少し待ってから合わせを入れろ」と言った。
2度目は同乗者の女性にキングがヒットしたので、仕掛けを巻き上げている最中にグイと来た。巻き上げるのを止めて合わせのタイミングを計りたかったが、堪えて仕掛けを回収した。同乗者がヒットした場合、他の釣り人は自分の仕掛けを速やかに巻き上げる事が此処のルール。一旦、針掛かりしたキングサーモンは縦横無尽、死に物狂いで海中を逃げまくる。その突進力は凄まじく張り詰めた道糸が他の釣り糸と絡めば、あっさりそこから切れる事はよくあるらしい。3回目のあたりは合わせを待った。ガイドにタイミングを見極めてもらい「GO!」サインで合わせを入れたのだが、またしても獲物に針掛かりすることは無く、エサを盗られた仕掛けが力無く戻ってきた。・・・僕は「何がいけないのだろう?」とガイドに質問してみた。ガイドは「う~ん 判らない、でも3回もチャンスを逃がす客もそう居ない」と苦笑しながら答えた。どうやらキングサーモンに嫌われたらしい・・・外道さえ釣れず一日目が終わった。

二日目も日の出から出漁。同乗者は30ポンドのキングサーモンを釣り上げたが、僕はあたりさえ無い。
あまりにも魚信が無いと誘いをしたくなる。
仕掛けを数十センチづつ上げたり下げたり、ロッドをゆっくり立てて聞き合わせをしてみたり、あらゆる手を尽くしたくなるのが釣師の性。
この海でも僕はいろいろ試みた。
しかし、それを見ていたガイドに「あまり竿を動かすな」と言われてしまった。
確かに小物の釣りではこういった小手先のテクニックは有効だった。
しかし、思い出してみるとスティールヘッド、大真鯛、大イワナ、サクラマス、今まで針掛かりした大物達はあまり仕掛けを動かして無い時に掛かることが多かったのは事実だ。
今相手にしているのはキング・オブ・サーモン、この魚もまた大物釣りの例外では無さそうだ。置き竿でアタリを待つのは気が進まないが、ここは船体の一部と化して待ちの一手を決め込む。
しかし、とうとうチャンスが来ないまま二日目の夕焼けを眺めている。此処の海に嫌われてしまったのかな?そんな事は無い、チャンスは必ず巡って来る、ストップフィッシングの合図があるまで諦めるものか。
来い、
来い、
ドラグよ悲鳴を上げてみろ・・・

祈るようにあたりを待つ。
トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『出漁』 カナダの旅 8 [水彩画]

080622-s-400-DSC_0004-1.jpg

水彩画『出漁』 F3 カナダの旅シリーズ その8

北緯54度、北海道宗谷岬から更に1000キロ北ということになるが、思ったほど寒くない。

海の色、潮の流れ、香り、空の色、雲の流れ、海鳥達の動き。
大自然の中に飛び込んで行く時ほど五感が騒ぐ時はない。
いよいよカナダ屈指のサーモン釣り場に出漁だ。


余談

ここの釣り船はどれも舟艇に対して不釣合いな高出力エンジン(90馬力×2基)が搭載されている。不思議に思いガイドに質問してみると、ここの釣り場は潮流が激しいうえに低気圧の影響を受けやすく、直ぐに時化るらしい。ロッジから一番遠いポイントで釣りをしていても、大時化になる前に帰ってこられるようエンジン選定しているそうだ。「だいたい何処のポイントに居ても30分以内に帰って来られるんだよ」ガイドは頼もしそうにエンジンを振り返り、「ヤマハ イズ ベスト!」と笑った。


今朝出港時の気温がプラス1.4℃、ひとたびこのエンジンが吠えれば、体感温度はあっというまにマイナス10℃以下になるだろう。ロッジから貸し出された救命胴衣内臓のジャケットは分厚く、もこもこして少々動きにくいのだが、こんな状況でも暑いくらい保温性がある。

今朝、船着場にある釣果ボードをじっくり見てきた。ここ5日間で最大が36ポンド、30ポンド越えは3匹、20ポンドクラスが30匹、滞在客が約45名だから、半数はボウズ、30ポンド越えをキャッチできる確率は僅か1%、かなり厳しい釣りになりそうだ。


ポントに着くとエンジンをアイドリングさせ、ガイドがエサの塩漬けニシンを出して丁寧に親針と孫針を刺す。一見簡単そうに見えるが、針のセットバランスが少しでも狂うとエサは海中で妙な動きをしてキングは喰わないそうだ。
エサを付け終わると、「45ヒロに落としてくれ」と言われた。?魚群探知機を見るかぎり海底は60m、日本式で45ヒロとは45×1.8m=約80mだ。妙だと思い「1ヒロって いったいどれ位の長さなの?」と聞いてみると、ガイドはリールから片手で7、80cmほど引っ張り出し、「これが1ヒロだ」とやってみせてくれた。
なるほど、75cmが1ヒロならばこのポイントで45ヒロ(約33m)の棚に仕掛けを落とすのは納得できる。
郷に入らば郷に従えである。一回にきっちり75cm引っ張り出せるよう気を付けながら、45回道糸を手繰り出した。


トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『最果ての浮き桟橋』 カナダの旅 7 [水彩画]

080616-s-400-DSC_0001-2.jpg
水彩画『最果ての浮き桟橋』 F3 カナダの旅シリーズ その7




バンクーバーからプロペラ機でクィーンシャーロット群島最北端のマセット空港着。
そこから更にヘリでアラスカ国境が見える孤島に到着。

この頼りない浮き桟橋が、カナダ最北端のヘリポートになるのではなかろうか?

僕らは着陸すると頭を低くしながらヘリを降り、強烈な風圧で海に落とされないよう踏ん張りながらヘリポートを離れる。
桟橋では万一に備え待機した係員が居て、機内で使っていた防音ヘッドホンを返した。

爆音が去り森や潮のざわめきに耳が慣れてくる頃、やっと体の力が抜けた。


部屋を割り当てられた後、一服しにテラスに出る。

喫煙者にとって海外旅行は障害物レースみたいなもんだ。
電車内禁煙、歩き煙草禁止、ホテルの部屋も禁煙、機内も禁煙、空港内は禁煙、空港の片隅でやっと見つけた喫煙スペースは雨ざらし、僕だって生まれた時から煙草が存在してなければ、ニコチン中毒になりようが無かったのに、まるで犯罪者扱いである。

やっと屋根の下で海を眺めながら一服できる幸せに ゆっくり浸る。

隣で煙草をふかしていたアメリカ人に調子はどうだい?と聞く。

滞在4日目で24ポンドのキングを一匹釣っただけだが、昨日別グループが30ポンド越えを釣っていたよ、と言った。

ふ~ん、秘境といえどやっぱり大物釣りは甘くないようだ。

彼は、お互い気長にやろうぜ というような事を言って部屋に戻っていった。


とうとうやってきた。

此処は世界中の釣りキチ達が50ポンドオーバーのキング・オブ・サーモンを求めて集うカナダの秘境だ。
トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『トロリーバスの走る街』 カナダの旅 6 [水彩画]

080609-s-400-DSC_0001-1.jpg
水彩画『トロリーバスの走る街』 F3 カナダの旅シリーズ その6

バンクーバーの街を歩いていると、線路も無いのに電車が走ってるわ・・・と思ったらトロリーバスでした。
たしかロブソン通りだったと思う、日中は25度を越えていたのに早くも秋の気配が漂い始めていた。



余談
バンクーバーに到着し早速、明日からの行動について簡単なレクチャーを受けた。
釣り場に向かう途中、プロペラ機~ヘリと乗り継ぐのだが、その際怪我が無いようアタマを低くして迅速に乗り降りするとか、途中原生林の上を通過するが、万一墜落して遭難したとしても救助が来るまでは決して無闇に動いてはいけない、何故なら最悪の地点では一番近い民家まで100キロ以上あるし途中はグリズリーベアがうじゃうじゃ居るし、遭難地点から離れた森の中じゃ救助機から発見できん・・・滞在ロッジは全室禁煙、煙草を吸いたい人は必ず外の喫煙スペースで・・・以前トイレで吸って火災報知器とスプリンクラーを作動させたバカ者が居るが真似せんように・・・うんぬん これからの行動心得を時差ぼけの回らないアタマで聞く・・・だんだん意識が遠くなる・・・
おい!判っているのか?そこのジャパニーズ!これは笑い事じゃ無いゾ!ニヤニヤしてないで真面目に聴きたまえ!カナダの人はとてもマジメです、そして東洋人の微笑みを理解してくれません(時と場合を考えて微笑みを使いわけましょう)

レクチャーを聴き終え、一つだけ今日中に解決しなければならない問題が浮上。
小生、大型のハードケース一個に旅の荷物を詰め込んで来たのですが、ヘリに載せられる荷物はソフトシェルに7キロまで、ハードケース不可との事。これは大変!早速、大型のスポーツバックを調達しなくては・・・

のんびりバンクーバーの名所を回ろうかと思っていたのに、とんだショッピングに時間を割くことになってしまった^^;
バンクーバーの街をバック求めてあちらこちら巡り、超安物(29$)のスポーツバッグを買った。
この絵はうろうろしている最中に見かけた一コマ。

トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『雲も旅する』 カナダの旅 5 [水彩画]

080604-s-400-DSC_0007-2.jpg
水彩画『雲も旅する』 F3 カナダの旅シリーズその5

カナダの玄関口バンクーバー、日本からカナダに向かうとほとんどの場合最初に踏むカナダの地はバンクーバーになる。

のんびりとした入国審査を通り、完全時差ぼけ状態で市内観光に向かう。

早くカナダ時間に慣れる為には今日一日夜まで動くしかない。

とりあえずカナダプレイスの見える港で潮風に当たることにした。

素敵な雲がゆっくり流れ、乾いた潮風が心地良い。

アラスカに向かう客船が停泊し、沖では海上スタンドでセスナ機が給油し飛び立って行った。

ああ、ここは全ての旅の拠点なのだ。

流れる雲を見上げ、明日から始まる旅にわくわくするのだ。


トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『ボート小屋の朝』 カナダの旅 4 [水彩画]

080601-s-400-DSC_0002-11.jpg
水彩画『ボート小屋の朝』 F3 カナダの旅 その4

カナダBC州、レイクルイーズにて。

早朝のレイクルイーズ湖畔を歩いてみる。
真夏だというのに、澄んだ空気が湖面を渡ってきて少々冷たい。
・・・そうだった此処は北海道より緯度が高く、しかも標高1500mなのだ。
スプルースの森に朝の光が射し込む頃、ボート小屋の管理人が準備を始めた。
トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『黄色いテント』 カナダの旅 3 [水彩画]

080529-s-400-DSC_0002-1.jpg
水彩画『黄色いテント』 F3 カナダの旅シリーズその3

カナダBC州バンフの町をブラブラ歩いていると黄色いテントが目についた。
無論観光用に設置されたテントだと思うが、詰めれば15人は入れそうな規模だ。
テントの骨組みにはトウヒという針葉樹の枝を払い皮を剥いだ主幹が用いられていて、現地の方は文字通り「材料はロッジポールパインだ」と説明してくれた。
カナディアンロッキー観光では何処に行ってもこのロッジポールパインと呼ばれる針葉樹が景色の大半を占めるのだが、この樹は競うように天に向かって真っ直ぐに伸びる習性があるらしく、竹の無い地方ではテントの骨組みとして身近で最適な素材だと思う。
現地ではロッジポールパインと呼ばれ、ガイドブックなどではトウヒとかスプルースと書いてある樹だが、トウヒの種類はかなりあってこの辺り(海抜1000~2500m)で見かけるのはEngelmann Spruceだと思う。
テントの入口はたぶん山に向かった側にあるのだろう、自然に対する心は人類共通かもしれない。


トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『昼下がりの広場』 カナダの旅2 [水彩画]

080521-s-400-DSC_0004-1.jpg

水彩画『昼下がりの広場』 F3 カナダの旅シリーズその2

カルガリーの空港から車で約2時間、カナディアンロッキー観光の拠点となる町バンフに到着。
なんでこの町に空港を作らないのだろう?と思ったら、バンフ周辺は広大な自然保護地区になっていて空港を作ることはもちろん、航空機が上空を通過する事さえ制限されているらしい。カナダの自然保護に対する考え方は徹底しているのだ。
自由時間があったので昼下がりの町を歩いてみた。
この町の何処に居ても目に入る山がある。カスケード山とランドル山と呼ぶらしい。いずれも3000mほどの山で、ゴジラの背中を思わせるノコギリ状の姿が印象的だった。
改めて絵を描いてみると、この町の建物も自然景観を損なわないよう細心の気配りがされているなぁ・・・と感心。
トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩画『早朝の湖畔』 カナダの旅 1 [水彩画]

080517-s-400-DSC_0002-1.jpg

水彩画『早朝の湖畔』 F3 カナダの旅シリーズその1

シャトー・レイク・ルイーズ、こんな贅沢なホテルに泊まるのは私の本分では無いが、カミさんの希望も聞かねばなるまい。
三ツ星レストランの夕食で3時間もかかってしまい、睡眠時間は減る一方のこの旅。
ここまで来て夜明けの湖を見ない訳には行かない・・・根性出して夜明けの湖畔に出る。
夜中の霧が晴れ、3000m級の山が顔を出した。
トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩スケッチ [水彩画]

080503-2s-320-44img686.jpg

「日当の子供ら」

水彩 F2

5月の強い日差しの中、この子達は何に熱中しているのだろう?すぐ後ろには涼しげな木陰があるのに移動することも無く、帽子も被ってない日向の3人。今、最も居心地の良い空間は3人の心の中を漂っているのかもしれない。



ウォーミングアップ1.5キロ  10.0キロ 56分32秒  クールダウン1.5キロ
0→5 28分58秒 5→10キロ 27分34秒
5月累計走歩距離58キロ
南風強し。
疲れているのでほぐす程度、ゆっくり走る。(うっかりしていたが6日連続のジョグ、明日は脚を休めよう)
桐の花が散りはじめ、ハリエンジュ(ニセアカシア)の甘い香りがする。渓流に漂うヤマフジの香りも好きだが、ハリエンジュ、これから咲くネムの香りも好きだ。最も甘い蜂蜜が採れそうな香りはハリエンジュ、ネムはもう少し重く大人の香りがする。3つの中で最も蜂をよく見かけるのはフジ、蜂が一番旨いものを知っている筈だから、僕の嗅覚は主観的で大した事は無いのだろう。

トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

水彩スケッチ [水彩画]

080424-2s-320-080424-2s-320-44img683.jpg

水彩スケッチ「夕景」 F2

トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。