石見銀山~僕の貰った遺産
最近、島根県の石見銀山が世界遺産に登録されましたね。
僕は岐阜生まれの岐阜育ちなんですが、亡くなった祖父がこの一帯で林業やら農業などを営んでいた時期がありました。
僕が小学校1年の時(40年以上前)、まだ元気だった祖父に連れられて銀採掘跡を巡りがてら、一日で3つ山を越した記憶があります。
当時は銀採掘跡なんて全く興味がなかったけど、古びた縦穴の底に転がっていたイノシシの死骸に怯えたり、山鳥の綺麗な羽を拾って感激したり、喉がカラカラになったのにもう一つ山を越えると言い張る祖父に閉口した覚えや、やっとの思いで下山した時に飲んだジュースの旨さ、帰りのバス停前で見たおびただしい数の石仏(五百羅漢)の表情など、鮮明に覚えている。
還暦をとうに過ぎた老人が遠方の外孫と一緒に山を歩けるチャンスはそう巡ってくる筈もなく、むずかる孫をなだめながらもなんとか3つの山を越えたいという祖父の気持ちを理解したのは随分後の事、今となってはこの「一日山歩き体験」が祖父が残してくれた最大の遺産だったと思うのだ。