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ザリガニ捕りで縄張り争い

小学校2年から4年まで、学校帰りの遊びといえば『ザリガニ捕り』が定番でした。

お気に入りのポイントに着くとランドセルを岸にホッタラカシ、まずは適当な水草の根っこをまさぐり小さなザリガニを捕まえる。

今度はそいつを剥き身にしてタコ糸に縛りつけ、大物のポイントに移動する。

ハサミが発達し真っ赤に成熟したザリガニはカッコイイ。

うまく釣れたら適当な空き缶を拾って入れ物にする。

空き缶の入り口を僅かに出して泥に埋めた『仕掛け』を上げる時もドキドキする。

前日埋めておいた仕掛けを上げた瞬間、中から立派なザリガニが飛び出して来た時は無上の喜びだ。

仕掛けるのに良いポントの見極めもまた仲間同士の知恵比べなのだ。

全く同じ場所が取り合いになった場合はジャンケンで決め、負けた者がその日はポイントを譲るかわり、次の日はポイント優先権が与えられる。



そんなある日、我らが『漁場』に他校の5年生がやってきた。

彼は「ここでザリガニを捕るなら10円払え」と言うのだ。

僕は「なにいっとんのや、ここらはずっと前からオレらの遊び場やんか、金なんか無いしなんで払わないかんのや?」

僕の右手が彼のシャツを掴んだと同時に、彼の右ストレートが僕の左鼻を直撃した。

くそーと思いながら、両手で彼のむなぐらを掴み彼のアゴに頭つきをを食らわせた。その瞬間彼の白いシャツが真っ赤になり、

自分の鼻から大量に出血している事に気がついた。

その日はお楽しみのザリガニ捕りどころでなくなり、僕はちぎったボタンを握り締めたまま、鼻をすすりながら家にたどり着き、さんざん親に怒られた。




その夜遅く、知らない家族が尋ねてきた。

あの5年の子が両親に連れられて尋ねてきたのだ。

先方は我子のシャツに着いた大量の返り血を見てさぞ血相を変えた事だろう。

ひたすら平謝りだったが、ウチの両親も謝りながらボタンを返していた。

僕は彼らが帰った後、「金を要求するほうがおかしいんや」と正当性を主張したが、「ボタンをちぎったのは悪い」と、またオヤジにどつかれた。


それからあの5年生を見ることは二度となく、いつものザリガニ捕りは続いた。





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