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水彩画『一つの終結』 カナダの旅 10 [水彩画]

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水彩画『一つの終結』 F3 カナダの旅シリーズ その10

寄ってきては反転し猛烈なダッシュで海中深く逃げ込み、あるいは水面を割って出てテールウォークを見せる。その度に糸を張ったり緩めたり、ある時は強引なリーリング、ある時はリーリングを止めて相手の出方を探る、ある時は竿を海中に突っ込みテンションを保つ。15分間、このキングは力の限り針を外そうとし糸を切ろうとしたが、こちらも針を外されまい、糸を切られまいとあらゆる手を尽くした。

サーモン釣りという一つのゲームが終結を迎えている。気をつけろ、最後の詰めで切られる事はよくある。


余談

サーモン釣り3日目。

2日間世話になった最古参ガイドのボートを降りた。此処のフィッシングガイドNo1と呼ばれる彼を最後まで頼るほうが無難だろうが、定石とか確立やビギナーズラックで捉えられる相手でも無さそうだ。数十年の経験を軽視する訳ではないが、時には己の閃きを信じたくなる時もある。

3日目は若いガイドのボートに乗ることにした。
ナイジェル・マンセルというF1レーサーが居たが、この若いガイドはマンセルによく似ている。「よろしく頼む」と握手して彼のボートに乗り込み、もやいを解く。昨夜会った時、彼の野生の嗅覚を匂わせるような眼光に賭けてみることにしたのだ。
彼は釣り場に着くと、「この潮目に沿って」と言い僕に操舵を任せ、エサの準備を始めた。

朝の時合(魚の喰いがよい時間帯)で、まず僕にあたりが来た。エサを十分食い込ませ合わせを入れると、猛烈なスピードで相手は潜りあっという間に30mほど道糸が引っ張り出された。5分ほどのやりとりで寄ってきたキングは26ポンドほどだった。今回の旅でキープできるキングは3匹まで、リリースか?迷うサイズだったが初物なのでキープ。

お昼近く。まだキングを釣ってない客2名が30mのタナにセットした潮下の竿につき。僕ともう一人はコーホー(銀ザケ)狙いで13mのタナで置き竿にし、アタリを待つ。ここではロッジのサービス巡視艇が周回しており、飲み物や軽食が欲しい時は無線連絡すれば持ってきてもらえる。近くの船がちょうどサービスを受けていたので、コーヒーでも貰おうか?と思っていた時、僕の竿のドラグが悲鳴を上げた!ロッドキーパーから竿を外し、スプールを徐々に押さえてブレーキを掛けるが止まらない。コーホーでは無くキングだ!50m走ったところで、フッとロッドが軽くなった。外れたか?そう思いながらリーリングを始めると微かに生き物の感触が蘇った。外れたのでは無い!こちらに向かって走っているのだ!今度は大急ぎでリーリングをして糸の弛みを取る。ボートの手前10mで相手はピタリと止まった。なんと背びれを出してこちらを見ているでは無いか!30ポンドはあるな、そう思った瞬間、キングは反転して猛烈なダッシュを始めた。ガイドが「弱いブレーキだ!」を連発する。シイラやヒラアジを思い出す瞬発力、想像以上に走る距離が長い。朝の26ポンドと同じ魚種か?疑いたくなるほどの強い引きだ。10分を越えたところでキングの走る距離が短くなってきた。勝負はここからだ。道糸が沢山出ているうちは少々の衝撃も糸の伸びが吸収してくれるが、距離が詰まってくるとそうは行かない。キングの動きに素早く対応できなければ、伸びる余裕の無くなった道糸はあっさり切れる。

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